20代で株式ブローカーとして成功し、ウォール街で狼と呼ばれた男ジョーダン・ベルフォート。
そんな男の人生を、自伝小説をもとに映画化!
この男ヤバすぎます……
「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のあらすじ
一攫千金を夢見るジョーダン・ベルフォートはウォール街で株式ブローカーとしてデビューするも、その日にブラックマンデーが起こって失業。
しかし本人の才覚とカリスマ性で、集めた仲間と共に証券会社を設立。巧みな話術と1ドルにも満たないペニー株(クズ株)を金持ちに売りつけるという商法と不正取引で、ウォール街で荒稼ぎしていく。
巨額の富を得たジョーダンは、酒にセックスにドラッグと、酒池肉林の豪遊をしていくが……
欲望のままに溺れていく逆人間讃歌!
実在の元株式ブローカーであるジョーダン・ベルフォートの自伝を基に映画を作っているので、ほぼ実話らしいのですが、実話だとは思えないような話が次々と出てきます。
詐欺的な商法と不正取引で金持ちから金を巻き上げていくが、その行為に罪悪感なんて欠片も無し!
稼いだ大金で酒に溺れ、会社のオフィスで乱交パーティーなんて当たり前。非合法ドラッグをサプリメントのように常用するのにはビックリです。笑
しかし「やってはダメ!!」と言われたらやりたくなることを(この現象ってカリギュラ効果って言うらしいです)、平気でやっていく姿、やれるだけの力があることに、ある種の憧れを持ってしまうような、しないような……
そんな人間が思いつく限りの欲望が垂れ流されて気分が悪くなりそうなモノですが、ジョーダン・ベルフォートを演じるレオナルド・ディカプリオの怪演と、ブラックジョークたっぷりにジェットコースターのように流れる物語が、作品を一級品のブラックコメディとして完成させています。
ジョーダンの対となるFBIのパトリック捜査官の存在
主人公であるジョーダンと対になるキャラクターがいます。
それが不正取引でジョーダンを捜査する、FBI捜査官であるパトリック・デナムです。
ジョーダンがごく一部の成功者の象徴だとしたら、パトリックはありふれた庶民の象徴です。
映画で2人の初対面のときに、庶民の象徴であるパトリックはジョーダンに「地下鉄でみじめな女房の待つ家に帰れ」と罵られます。
登場時間こそ映画全体で見たら短いですが、パトリックの存在と上記のセリフが、映画のラストを意味深なものにします。
成功を求める人生とありふれたな人生、どちらが幸せか?
最終的にジョーダンは、パトリック捜査官に逮捕されて収監されます。
会社も仲間も失い、妻と子どもには出ていかれ、築き上げてきたものすべてを失いました。
しかし映画のラスト、出所してきたジョーダンが開く講演会に、お金を求める欲望にまみれた大勢の庶民の姿があります。
このシーンを見て初めは「一人の悪党が捕まっても人間の欲望は尽きず、どこまでも続いていく」という、皮肉の効いたオチだと思っていました。
この感想も間違いだとは思いませんが、このラストシーンは、その前に描かれたパトリック捜査官のシーンとの対比にもなっているのです。
ジョーダンを逮捕して地下鉄で移動するパトリック捜査官。そんな彼の目の前には自分と同じ庶民たちの姿、なかには平均収入を下回って生活水準の低そうな親子もいます。
その姿を見たパトリック捜査官にセリフはありませんが、かつてジョーダンに「みじめ」と罵られた彼は何を思ったのでしょうか?
パトリック捜査官の見た「社会の歯車として生きるありふれた庶民の姿」と、ジョーダンの見た「欲望にまみれているが、成功を求める庶民の姿」を対比させて、ボクたちに「どちらの人生のほうが幸せか?」と問いかけられているように思いました。
まとめ:ブラックコメディを楽しめる人には最高の3時間
この映画、上映時間が3時間とかなりかなり長いです。
その3時間のなかで「不正行為」「セックス」「ドラッグ」、この3つが出てこない時間はほとんどありません。めちゃくちゃ画面の肌色率が高いです。笑
映画ではそれらの要素を軽快なブラックコメディーとして仕立てていますが、、そういうことに不快感を持つ人は、時間をドブに捨てるような映画でしょう。
逆にそういったことに不快感を持たない人、映画だからと割り切れる人(実話だけどね)には、最高にぶっ飛んだ3時間を体験できます。