リーマンショックをテーマにした映画はマネー・ショートと、今回紹介するインサイド・ジョブがありますが、本作はドキュメンタリー映画です。
リーマンショックのことを知りたいなら本作、インサイド・ジョブを観ることをおススメします。
「インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実」のあらすじ
サブプライローン問題からリーマンショック、それらから連鎖的に広がった世界経済の崩壊。
なぜリーマンショックは起こったのか?
世界経済崩壊に至った原因を、キーパーソンとなる人物へのインタビューや徹底的な調査によって迫っていく!
金融業界の腐敗を暴く経済ドキュメンタリー。
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リーマンショックのことを知れる教科書的作品
ドキュメンタリーなので娯楽的要素は一切ありません。
しかし、リーマンショックとはなんだったのか、バブルはなぜ崩壊したのか、その原因を作ったのは誰だ、といったことを映画を観れば知ることができます。
リーマンショックの原因となったサブプライムローンやCDO(債務担保証券)、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)など、聞き慣れない金融用語も丁寧に解説してくれています。
「インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実」のネタバレ感想
政府と金融機関の暴走、それに対する怒り
この映画を観て強く感じたのは怒りです。
なぜ怒りを覚えるかは映画を観ればわかります。
当時の政府や金融機関、金融商品を評価する格付け機関が、そろいもそろって皆クズばかり!
以下に映画に出てきた犯罪的行為を箇条書きにします。
政府
- 行き過ぎた規制緩和により、金融機関の暴走の原因を作った。
- 行き過ぎた規制緩和の問題を指摘してくれた人の意見を無視。
- 証券取引を監督、監視する機関(SEC)の監督部門、リスク管理部門の人員削減。
金融機関
- 低所得者に無理なローンを組ませる。(サブプライムローン)
- リスクの高すぎる金融商品(CDO)を作り、安全だと言って投資家に売る。
- CDOの価値がゼロになったときに受け取れる保険(CDS)を買い、CDOの売上とCDSの保険金で2重に稼いだ。
格付け機関
- 銀行からの金のために、危険な金融商品(CDO)の格付けを最高評価のAAAにする。
- 問題になったときに、「格付けは『意見』にすぎない」と言い訳。
政府の人間は金融機関の詐欺的な商売を黙認し、金融機関は詐欺的な商売でローンの借り手と投資家をダマし、格付け機関は金のために正当な評価をしなかった。
これらの行為が犯罪でなかったらなんでしょうか!?
しかし、これらの人間は責任も取らず、逮捕されることもなく、稼いだ金を持って勝ち逃げしています。
「正しさ」はどこにもありませんでした。
金融業界を批判する内容に偏っているが仕方ない
映画は金融機関を批判する内容に偏っている構成で、批判されている側の主張が少ないから、公平性に関しては疑問があります。
しかし、そうした偏りがあるのは仕方ないと思いました。
その理由は批判される側の人間、当時のFRB(米連邦準備理事会)の議長や投資銀行のCEO、3社の格付け機関は本作の取材を断っているからです!
当時の自分たちの行動に正当性があるなら反論してほしかったのですが(むしろ当時の彼らが何を考えていたのか知りたかった)、彼らは反論の機会を自分から捨てました。
インタビューに応じた少数の政府側、金融機関側の人間も言葉を濁している場面が目立ちます。
批判された側の反論が無い以上、当時の金融業界は腐っていて最悪だったと、評価されても仕方ありません。
本当に見ていてムカムカする内容でした。
まとめ:リーマンショックのことを知りたいなら最高の映画
インサイド・ジョブはドキュメンタリーということもあって、実際に当時何が起こっていたかはこちらの映画のほうが詳しく知ることができます。
リーマンショックを描いたもう一つの映画「マネー・ショート」は、予備知識が無いと話が理解しにくいので、この映画を観た後にマネー・ショートを観ることをおススメします。
映画のなかの不正はアメリカに限った話ではありません。
日本でも金融機関の利益だけを求めた結果、保険や投資信託の不正な販売があります。
結局のところ、言われたままに行動するのではなく、自分で考えて行動することが大切という教訓を得られました。