株には出来高がありますが、FXでも出来高を確認できるのでしょうか?
実はできます。
今回はFXで出来高を確認する方法と、実際にトレードで使えるのか解説していきます。
出来高とは?
出来高とは、期間中に成立した取引量のことです。
日足チャートの出来高なら、1日の内で成立した売り買いの数量がチャートにグラフとして表れます。
価格が出来高によって裏付けられたときは本物で、価格が出来高によって裏付けられていないときはダマしの可能性が高いなど、価格と出来高の関係性を読み取れるようになると、チャート分析の精度を上げることができます。
アベノミクスのときの日経平均株価は、強い株価上昇に伴って出来高も増加しました。
価格が出来高によって裏付けられた典型例です。
FXで出来高を確認する方法
FXでは株式のように正確な出来高を知ることはできません!
なぜならFXは取引所を介さずに、顧客とFX会社が直接取引をする店頭取引だから。
株式の取引所取引のように注文が一か所に集まらないので、店頭取引が多くを占めているFXでは正確な出来高を知ることができないのです。
その代わりにFXでは、期間中に価格(ティック)が変化した回数を数えたティック出来高で、出来高を確認できます。
ティックとはFXの値幅を表す最小単位のことです。
ティック出来高を確認するには、インジケーターの「Volume」を使います。
いま使っているチャートのインジケーターを確認してみて、その中に「Volume」があるなら、設定するだけでティック出来高を確認することができます。
ボクが使っているチャートのTradingView(トレーディングビュー)なら、「Volume(出来高)」という名前でインジケーターにありますよ。
しかしこのティック出来高、価格が変化した回数を数えているだけなので、FX会社によってもティック出来高は違ってきます。
結局は株のように正確な出来高は分かりません。
FXで確認できる出来高は、「だいたいこれぐらいの取引量があった」とまでしか分からないのが現実です。
- FXで出来高を確認するには、インジケーターの「Volume」を使い、ティック出来高を確認する
- ティック出来高は、価格(ティック)の変化を数えたものなので、株式の出来高のように正確な出来高ではない。
FXで出来高を使うのは優位性があるか?
ボクはFXでも株と同じように出来高を活用しようと、本気で勉強し検証した時期があります。
しかし結論として、FXで出来高を使って勝つのは難しいと判断して、きっぱりやめました。
その理由は、ティック出来高には信用性が無いからです。
先にも言った通り、FXのティック出来高は価格(ティック)が変化した回数を数えたものなので、FX会社によって同じ日の同じ通貨ペアでも、ティック出来高に違いがあります。
FX会社によって同じ通貨ペアでも、為替レートが少し違っているのと同じです。
その違いが実用に問題ないレベルならいいのですが、実用に問題があるレベルでティック出来高に違いがあります。
下の画像はTradingView(トレーディングビュー)でティック出来高を確認できるFX会社、FXCMとOANDAの同時期のドル円日足チャートを比較したものです。
比較すると、ざっとこれだけ大きな違いがありました。
- FXCM…2019年12月12日の方が出来高が多く、翌日13日の出来高が少ない
OANDA…2019年12月12日の方が出来高が少なく、翌日13日の出来高が多い - FXCMとOANDAで、コロナショック時の出来高に大きく差がある
- FXCM…2020年8月20日の出来高が前後の日と比べて突出している
OANDA…2020年8月20日の出来高が前後の日と比べて差が無い
一期間を抜き出した中でも、これだけFX会社によってティック出来高に差があるなら、使うFX会社によってチャート分析が違ってきます。
さらに同じFX会社でも、あとから出来高が修正されているという問題もあります。
FXCMのチャート画像では2020年8月20日の出来高が前後の日と比べて突出していましたが、現在(2021年3月)確認すると、同じ日なのに出来高が小さくなり前後の日と差が無くなっていました。
FX会社によって出来高が大きく違う。さらには後から修正される場合もある。これではいま見ているティック出来高が正しい保証がありません。
元々株式の出来高に比べて不正確なティック出来高なのに、その信用性もないとなればチャート分析には使えないです。
以上の2点の理由から、ボクはFXで出来高を活用することはやめました。
- FX会社によってティック出来高に違いが出る
- ティック出来高があとから修正されている場合がある
ティック出来高以外にFXで出来高を確認する4つの方法
実はティック出来高以外にも、FXで出来高を確認する方法があります。
それが以下の4つです。
店頭FX月次速報
金融先物取引業協会の店頭FX月次速報では、国内店頭FX会社50社以上における出来高やポジション数量を、Excelファイルをダウンロードして確認できます。
TFヒストリカルデータベース
TFヒストリカルデータベースは、国内で唯一取引所取引ができるFX「くりっく365」で取引された出来高が確認できます。
東京金融取引所で取引されたデータなので、「くりっく365」で取引された分のみですが、店頭FXの出来高と違って正確な出来高です。
外国為替市況
日銀が公表している外国為替市況では、東京外為市場における店頭FXの出来高を確認できます。
日次で直近70営業日分のドル円、ユーロドル、ユーロ円の出来高を調べることが可能です。
CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)
CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)は、世界最大の先物・デリバティブ市場を提供している取引所です。
CMEで取引された米ドル円・ユーロ円・ユーロ米ドルなど、主要通貨ペアの為替先物の出来高を月単位で確認できます。
ティック出来高以外にも、FXで出来高を確認する方法を紹介してきました。
しかし、どれも一部市場の出来高しか確認できなかったり、月次でしか確認できなかったりと、実際の出来高を反映できているかは疑問です。
これらのデータを使って、チャート分析の精度を上げられるかと聞かれたら、個人的意見ですが難しいと思います。
最後に:やはりFXで出来高を活用するのは難しいが・・・
FXで出来高を確認する方法と、しかしどのような方法でも正確な出来高を知ることはできないことを解説してきました。
正確な出来高が分からないので、株式トレードのように出来高を使ってチャート分析するのは難しいです。
しかし、この記事の結論はあくまでもボクの結論です。
ボクには無理でしたが、FXで出来高を使って精度の高いチャート分析ができる方法があるかも?
いずれにしても、FXで出来高を使って精度の高いチャート分析をするには、相応の検証と経験が必要になるでしょう。