「超予測力 不確実な時代の先を読む10カ条」感想-人は不確実性を予測できるか?

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書評

投資家やトレーダーは日々チャートやニュースから、将来の値動きを予測して利益を上げようとしています。

しかし、なかなか予測がうまくいかない人が多いのではないでしょうか?

ボクもFXトレーダーとして自分の予測力を高めたいと思って本書を読んだのですが、「予測力は自分の努力で向上できる」という考えと、その方法論はとてもためになりました!

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「超予測力 不確実な時代の先を読む10カ条」はこんな本

適当な予測をメディアで流すコメンテーターやエコノミストが多くてうんざりしますが、なかには高い確率で将来を予測する「超予測者」と呼べる人間が、少ないながらも存在することが著者自身の研究で分かりました。

本書ではそんな超予測者たちを集めてプロジェクトチームを作り、本物の予測力を持った人間とはどういう人間なのかを明らかにしています。

超予測者の共通点

予測力は生まれ持った才能で決まるのではなく、努力して育てることのできる能力だというのが、本書の考えです。

「予測力は生まれつき備わった神秘的な才能などではない。特定のモノの考え方、情報の集め方、自らの考えを更新していく方法の産物である。知的で思慮深く意志の強い人なら、だれでもこの思考法を身につけ、伸ばしていくことができる」。

引用元:超予測力 不確実な時代の先を読む10カ条 p366

著者の研究のなかで予測力の高い人間には、共通したモノの考え方があることが分かりました。

そんな超予測者たちの共通点の一部を紹介します。

いろいろな視点からモノゴトを見て考える

超予測者はいろいろな視点からモノゴトを見て予測を立てます。

自分とは反対の意見すら取り入れて、「自分の予測に穴は無いか?」と考えて、自分の予測の精度を高めていくのです。

著者はそんないろいろな考えを取り入れるモノの見方を、「トンボの目」と表現しています。

多くの人は自分の考えに反する意見には反発し、否定したくなります。

みんなが自分と同じ意見なら安心できますから。

しかし、そんな一つの視点に固まった状態で立てた予測の精度は非常に悪く、致命的な間違いを犯しやすくなります。

実際に一つの視点だけで予測し計画を立てた結果、核戦争になりかけた「ピッグス湾事件」という事例があるのですが、この事件のことは別で調べるか、本書を読んでみてください。

自分の予測にこだわらない柔軟な思考

超予測者は自分の予測にこだわりません。

自分が立てた予測は、予測を立てた時点で手に入る情報で立てられていて、新しい情報が入れば更新する必要があることを分かっているからです。

予測は宝くじのように、買ったら抽選の日までしまい込んでおくといったものではない。入手可能な情報に基づく判断である以上、情報の変化に応じて更新していく必要がある。

引用元:超予測力 不確実な時代の先を読む10カ条 p202

ボクたちは明らかな間違いがあるときでも認められないときがあります。(行動経済学では自己正当化バイアスといいます)

ですが本の中の超予測者たちは、新しい情報があれば自分の予測を細かく更新します。

そして自分の予測が明らかに間違っていたと分かれば、ためらいなくそれまでの考えを変えられるのです。

数字に強い

超予測者はみんな数字に強いことも共通点の一つです。

「数字に強い」と言っても数学的才能が必要だとか、一般人では理解できない数式を使うといった話ではありません。

ここでいう数字に強いというのは、確率でモノゴトを考えるということです。

予測したことが起こる可能性を「おそらくは」とか「可能性が高い」とかあいまいな言葉を使わず、絶対に「○○%」という数字を使って確率を表します。

数字を使うことで自分自身どれだけの確率で予測したことが起こると考えているか分かり、新しい情報が出て予測を更新するときには、1%単位で確率を修正できるのです。

 

そして予測した結果が実際にどうなったか後から正確に評価し、どうすればもっと予測の精度を高められたかを考えて、予測方法を改善していけます。

そうやってドンドン予測の精度を高めていくのです。

まとめ:予測力を高めたい人にベストな一冊

なんとなく気になって読んでみた「超予測力 不確実な時代の先を読む10カ条」でしたが、いままで読んだ本のなかでも上位に入る良書です。

日ごろから相場分析をしている人には、予測力を高める考え方を学べる一番の参考書だと思います。